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文章のリズム [ときどき書く日記]

わたしは本を読むのが割と好きである。
でも、なかなか読み進められないものもやっぱりある。

一つは、内容的に「なんか違うなあ」と思うもの。
それは、誰でも、読み進めることは困難なんだと思う。
もっとも、こういう本は、そもそも手に取らない可能性が高い。

しかし、読みにくいものというのはもう一つあって、
それは、文章のリズムが自分に合わないものなんです。
「きっと面白いことが書いてある」と確信する場合でも、
文章のリズムが合わないと、なかなか読み進められない。
たぶんそれは、「生理的に受け付けない」というのに近いのだと思う。

文法的には間違いとは言えなくても、リズムが自分に合わないものは確かにある。

よくあるのは、
「・・・・であるが、・・・であるが、・・・である。」というような文。
文法的には間違いではない、でも、私はこのような文が続くと
長くは耐えられなくなる。
「やめてよ、一回文を切ってくれ。」と思ってしまう。

本来、母語というものは、予測しながら読むことができるはずなのだが、
(予測と言うと大げさですが、例えば、さっきの例でいえば、
「・・・であるが」が一回出てきたら、その文が終わるまではもう
「・・・であるが」は出てこないはずだ、と思っているという程度のことです。)
リズムが悪い文章は予測が効かない。
だから、どうしても途中で分からなくなってしまう。
麦茶だと思っていたら、めんつゆだった、なんて場合には、
一次的に思考が停止して、「え?なんだって?」となってしまうでしょう、
あれです!
もう「・・・であるが」は出てこないだろうと思って読んでいて、
それが出てきちゃった場合、「え?なんだって?」となるのです。

そういう文の場合、途中で思考が途切れるから、
何度も読み返さなければならなくなってしまう。
これじゃ、まったく読み進められない。

最近思うのは、評論や論文などにおいては、
こういう文章を書く人が割と多い、ということです。
インターネット上にあって、すぐに誰も読まなくなる文ならまだしも、
書籍になっているものの中にも、そういうものがけっこうあって、
途中で挫折したりする。
これはもちろん、読者の私自身の責任でもあるが、
実は、4割程度は著者の責任なんじゃないかと思っている。

多くの著者はたぶん「内容が良ければよい文章になる」と思っている。
でも、そんなことはないと私は思います。

仕事上、いろいろなところから、「指令書」みたいなものをもらう。
いつまでに何をしろ、ってゆーのですね。
そこには、例えば、このサイトにアクセスして、これとこれとこれを入力しろ、
とかいうような、細かい指令が書いてあったりするわけですけど。

あの「指令書」でさえ、良し悪しがあると思いませんか。
期限がいつで、しなければならないことがいくつあるか、が
一目瞭然の文書もあるけど、多くの場合、
何かを見落とすようにできているものです(笑)。

見落とすのは、見落とした人が悪いと言われれば、そうなんだけど、
あれはおそらく、指令書の作成者が、その指令を受け取る人の身になって
文章を構成していないからだと思います。

よくあるパターンとしては、
前に出した「指令書」の最後に、今回新しく付け加わったことや変更点を
書き添えるというもの。
実は、そういうのは、最初に書いておくべきことだと私は思うんですよね、
だって、その「指令書」を過去に何度も読んだことがある人は、
指令書なんかろくに読まないから。(笑)

たかが指令書、されど指令書、
みんなにきっちり指令を遂行させられるかどうかは、
指令書の良し悪しにかかっているのです。
文書の最後に書くか、最初に書くか、たったそれだけのことで
見落としの有無は全然違ってくると私は思うのです。
(ついでに言うと、まずい指令書を書くと、見落としが多くなるから、
かえって督促しなければならないケースが増えてしまうと思うのですよね。
自分で自分の首を絞めているような気がします。)

閑話休題。

評論や論文というものは、自分の主張をいかに他人に分かってもらえるかが
勝負であって、だから、読みやすい文を心掛けるのが本当だと思うのです。
特に、新書とか入門書だったら、「述べ方」はやっぱり重要だ。
なのに、それに無頓着な文章が多いことに、驚く。

読んでほしいのなら、もう少し読みやすい文を書いてほしいよな、と
思ってしまうわけです。
ということは、そういう本の著者は、私に読んでほしいとは
思っていないのかもしれませんがね。

リズムが悪い文章の書き手は、おそらく原稿を読み返す回数が少ないのだと思う。
一度書いてから、読みやすく書き直すということをしていないような気がする。

だけど、書籍は講演会やテレビ出演とは根本的に違うものなのだ。
それがあまり分かっていないんじゃないだろうか。

・・・というのは愚痴である。たった今、
文章のリズムが悪すぎて読み進めることができずに
そっと、本棚に書籍を戻したところなので。

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